結晶シリコン太陽電池で高い変換効率を実現するためには厚さ10μmに技術を確立する必要がある。2年目までに、シリコンナノ粒子膜をホットプレス法を用いて緻密化を行うことで抵抗率を低減できた。さらに、ナノ粒子を用いて太陽電池構造を作製することで光起電力を確認した。一方で、短絡電流密度は低く、高い短絡電流密度を得るためには新規な光閉じ込め構造が必要であった。 今年度は、ナノ粒子による反射防止膜の形成とナノインプリントによるナノワイヤー構造を作製した。反射防止膜は、テクスチャ基板上にナノ粒子膜を、スピンコート法で作製した。形成前は反射率が約30%であったが、形成後に5%まで低減を行えた。太陽電池構造では、短絡電流密度が25.2 (mA/cm2)(形成前)が34.1(mA/cm2)(形成後)まで向上した。これは、ナノ粒子膜の膜厚を数十nmで形成することで、太陽電池構造のシリーズ抵抗に影響を与えずに屈折率を変化させたことを示している。また、開放電圧もナノ粒子作製前後で変化せず0.5Vであった。ナノ粒子による再結合による開放低圧の低下も防げた。 一方で、ワイヤー構造を形成するためにPDMSモールドに直径および高さ500nmのホールおよび500nmピッチの形状を形成し、ナノ粒子膜へ転写した。走査型電子顕微鏡で、構造を作製でき、周期性による干渉縞を確認した。 ナノ粒子による反射防止膜とワイヤー構造の形成技術の確立に成功した。
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