研究代表者は有機系太陽電池に代表される「ペロブスカイト型」と「有機薄膜型」の双方の利点を融合させた超効率な無機無機ハイブリッド薄膜太陽電池の開発を行ってきた。具体的には従来の有機薄膜型に代表される2成分バルクヘテロ発電層に対し、それ自体がキャリア生成体であるペロブスカイト化合物を第3成分として投入することによるマルチ電荷発生機構を備えた3成分系バルクヘテロ太陽電池の開発を実施してきた。 平成29年度は積層構造素子において相分離サイズモデル形成の指標となる最大電荷輸送距離を明らかにし、本材料系に適した相分離構造モデルを示した。また、本系でキャリアの拡散律速となっていたチタンアルコキシドのキャリア輸送性の改善を加水分解処理とマイクロメカニカルフォースを用いたナノ結晶体の超高分散により実現した。 平成30年度は前年度に示した相分離構造モデルを指標に、ナノ相分離制御技術による3成分系バルクヘテロ相分離構造の形成に着手し、SP値の概念と分子立体障害性の利用による複合技術により、難易度の高い3成分系の相分離構造制御が可能であることを示した。
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