研究課題/領域番号 |
17K14925
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研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
野毛 宏文 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80455146)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パーム酸油 / 未利用エネルギー / 燃料改質 / 拡散バーナ燃焼 / 排気特性 |
研究実績の概要 |
H29年度は研究計画・方法にも示した通り、パーム酸油混合燃料の低温流動性の改善に取り組んだ。PAO(Palm Acid Oil)の組成分析からは単結合を有するパルミチン酸が最も多く検出され、固化に影響する化学種ということが分かった。そこで、パルミチン酸を最大限まで有機溶媒に溶かすことを考え、数種類の有機溶媒を調整し、溶解実験を行ったが、低温であからさまな析出(析出と容器の底への沈殿・固化)を防ぐことはできなかった。電子顕微鏡(SEM)で析出物を調べると、植物繊維のようなものが確認された。そこで、フィルター処理により、微細な植物繊維を除去した。その後、PAO粒子を均一に分散させた状態で、あからさまな固化を防止することを目的に、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(PFAE)を使用した。その結果、有機溶媒による処理では11℃で析出していたPAO粒子の析出を5℃以下に抑えることができた。さらに、析出してもあからさまに個体を作るのではなく、均一にパルミチン酸粒子が分散した状態を保つことに成功した。ただし、試料の粘度を上げる結果となった。 次に、液中プラズマによるPAOの改善も試みたが、作製したPAO混合燃料を数日間置くとPAO粒子の析出が見られた。また、PAOには炭素成分が多く、予想以上に試料の温度が上がりやすいため、すすの生成も見られた。 次に平成31年度の課題の一部とし、PFAEにより作製したPAO混合燃料の燃焼を調べた結果、これまでに試作したPAO混合燃料と比べると、炉内の温度の低下を抑制し、かつ、NOx排出量も低減できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究により、PAO混合燃料の析出の問題に対し、低温での使用を完全にクリアしたわけではないが、これまで11℃で析出していたPAO粒子の析出を5℃以下に抑えることができた。また、溶剤だけでなく液中プラズマの活用方法も見直しを行い、PAO粒子の析出防止に役立てる必要があると考える。 また、一部平成30年度に実施する実験が行え、さらに新たに作製したPAO混合燃料もNOx低減に効果があることを発見できた。単に温度が低下したためか、PAOが燃焼に影響したのかを詳細に調べ、NOx低減の理由を明らかにする必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
PAO混合燃料の改質については、さらに低温でのPAO析出を防止するためにはPAOのエステル化反応等が必要になると考えられる。ただ、反応には強いエネルギーや選択性が関係するため、液中プラズマの有効活用を引き続き検討する。 上述したとおり、液中プラズマをPAOに直接適応するとすすの発生が多くなる。そこで、 PAOとは異なる親水性の層とPAOまたはPAO混合燃料の2層を作り、親水性での層で液中プラズマにより生成される化学種をPAOまたはPAO混合燃料の層で反応させ、低温流動性の改善に役立てることを目的に研究を進める。その他については、計画書に基づいて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張旅費を計上していただが、本校の運営費交付金ならびに共同研究経費から支出したため。来年度はすでに3件の学会出張を予定しているため、これらに使用する予定である。
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