最終年度実施事項 これまでの研究によって,PAO-軽油混合燃料を拡散燃焼バーナで燃焼させると,軽油単体に比べ,燃焼炉出口の温度を大幅に減少させることなく10~30%のNOxを低減させることを明らかにした.本研究でのバーナ燃焼で生成するNOxは主にサーマルNOが中心であると考えられる.したがって,NOの低減に関しては,サーマルNOの生成が抑制される,あるいは一旦生成されたNOが炭化水素類によって還元されるという可能性が考えられる.今回,燃焼炉出口の温度が顕著に減少していないこと,ならびに,液体燃料噴霧型の乱流拡散燃焼では,燃料過濃部が形成され,燃料過濃部においては,未燃の炭化水素とNOの還元が報告されている.そのため,最終年度は流通反応装置を用いて,均一に近い過濃燃焼場を形成し,この雰囲気でPAO混合燃料によるNO還元を調べた. この結果,反応場に酸素が存在し,燃料過濃な燃焼場ではPAOがNO還元反応に寄与すること,ただし,燃料流量が高くなり過ぎると,NO還元率が減少する.また,PAOの含有量が増加すると熱分解低沸点炭化水素は概ね減少するが,一方でCO2は増加することから,その生成過程でNOやO2が反応しやすいことを明らかにした. 研究期間全体 溶剤、超音波照射、液中プラズマにより、パーム酸油(PAO)と軽油の混合燃料作製を行ったが、低温でPAOの析出を完全抑制することは困難であるため,PAOは触媒等により、出来るだけ低温、低圧で特定の反応によりカルボキシル基を脂肪酸から外すことが望ましいと考えられる。また、混合燃料は拡散燃焼バーナーで燃焼させると、NOを最大で30%抑制することができ、この原因を流通反応装置により調べたところ、PAOは燃焼とNO還元を促進することがわかった。
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