研究課題/領域番号 |
17K14926
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
人羅 菜津子 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40762191)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経科学 / 不安障害 / 記憶・学習 / 光遺伝学 / カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
恐怖は生物が環境に適応して生存するために重要である。一方で過剰な恐怖は心的外傷後ストレス障害 (Post-Traumatic Stress Disorder, PTSD) をはじめとする不安障害の原因となる。不安障害に対する有効な治療法として近年、曝露療法が注目されている。しかし、一部の患者では治療効果が現れにくいため、より効率の良い治療法の開発が急務である。そこで、げっ歯類の恐怖学習における「消去学習」を曝露療法のモデル、「復元」を再発のモデルとして用いて、神経回路メカニズムを解明することを目的として研究をおこなった。 恐怖学習、消去学習、復元の一連の学習過程における神経回路活動を検出するために、自由行動下マウスの複数の脳領域から神経活動を同時に観察することを可能にする、マルチサイトファイバーフォトメトリー法を確立した。アデノ随伴ウイルスベクターを用いて神経回路選択的にカルシウム蛍光センサーであるGCaMP6を発現させ、脳内に埋め込んだ光ファイバーを介して励起光照射と蛍光検出をおこない、標的とする神経細胞集団のカルシウム活動を記録した。過去の報告や自身のこれまでの研究成果から内側前頭前皮質に着目し、内側前頭前皮質へのムシモール局所投与が恐怖反応の発現を抑制することを明らかにした。また、神経活動マーカーである cFos の免疫染色により、恐怖反応を発現する際に活性化する脳領域を全脳から網羅的に調べた。一方で、蛍光タンパク質を発現するアデノ随伴ウイルスを用いて、内側前頭前皮質の上流および下流の脳領域を標識した。これらを総合的に判断して、対象とする神経回路を選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬理学的検討、解剖学的検討、神経活動履歴の解析から対象とする神経回路の選定を終えており、研究の進捗状況はおおむね順調と評価できる。また、ファイバーフォトメトリー法、および、光遺伝学的手法を適用するためには、マウスの頭部に光ファイバーを装着する必要があるが、同条件下で恐怖学習、消去学習、復元を安定して観察できることを確認している。
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今後の研究の推進方策 |
選定した神経回路に着目して、経路選択的な観察と制御により恐怖発現との因果関係を検証する。恐怖学習、消去学習、復元の一連の学習過程における神経回路活動をファイバーフォトメトリー法により記録し、学習のどのタイミングで神経活動が起こるかを明らかにする。さらに、この活動を光遺伝学的手法で抑制することにより、学習との因果関係を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)安定した実験系を確立するための条件検討が順調に進行し、必要な動物数を少なくすることができたため。 (使用計画)現在データ取得用に使用しているパソコンでは高頻度のデータ取得が困難であるため、新たに高性能なパソコンを購入予定である。
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