脳が身体を制御する際に、運動制御を簡単にする方策として筋シナジーという概念が存在する。近年、様々な運動中の筋活動パターンが数個の筋シナジーの線形和として再現できることが計測実験によって確かめられている。一方、脳が状況に応じて筋シナジーをどのように調節しているのかを説明する有力な仮説は提案されていない。本研究では、筋シナジーは強化学習と呼ばれる試行錯誤的な運動学習によって獲得されるという仮説を設け、その仮説に基づいた計算論的な運動学習モデルを構築した。さらに、構築したモデルを用いた計算機シミュレーションによって、いくつかの実験で観測されている運動学習の特徴が再現できることが確かめられた。
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