研究課題
これまで前脳基底部コリン作動性ニューロンが注意に関わる神経細胞と考えられてきた。しかし、近年の光遺伝学的手法を駆使した研究によって、前脳基底部の注意に関わる細胞は非コリン作動性ニューロンであると示唆された。本研究では大脳皮質に軸索を投射する前脳基底部 GABA 作動性ニューロンに注目する。この神経細胞が注意時に活性化して体性感覚の検出能力を上昇させると仮説を立て研究を遂行する。2年目となる本年度は、持続的な注意が働く体性感覚検出課題の構築を目指した。体性感覚刺激-反応(舐める)-正の強化子(水)というオペラント条件づけを基礎として、体性感覚刺激の直前に音刺激を与えた。音刺激は報酬と結びついた体性感覚刺激の予測刺激となる。本行動実験では音刺激から体性感覚刺激が与えられるまでにマウスが反応すると、その試行は終了されマウスは報酬を得られない。実験では2つの音刺激(4kHz音・白色雑音)を用意した。白色雑音後に体性感覚刺激が発生する確率よりも、4kHz音後に体性感覚刺激が発生する確率は高い。4kHz音が提示された場合、音刺激から体性感覚刺激が与えられるまでのマウスの反応が抑制されるという結果を得た。これは4kHz音が与えられた場合、体性感覚刺激が与えられるまで持続的な注意が働いていることを示唆する結果と考えられる。本研究では汎性投射系としての前脳基底部GABA作動性ニューロンに注目している。GABA作動性ニューロンがどれほど広範囲に投射しているかは形態学的アプローチによる解明できる。しかしながら、どれほどの密度で大脳皮質細胞を抑制しているかという問いに答えるのは難しい。この問いに答えることを1つの目的として、申請者は広視野2光子顕微鏡を開発した。10,000個を越える神経細胞から神経活動を記録することに成功した。
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