研究課題/領域番号 |
17K14944
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤本 聡志 九州大学, 医学研究院, 助教 (50586592)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経回路形成 / 樹状突起 / 嗅球 / 僧帽細胞 / 自発神経活動 |
研究実績の概要 |
本研究では発達期において固有の自発神経活動のパターン変化を示す嗅覚僧帽細胞をモデルとして、自発神経活動パターンの脱同期が神経回路の特異性を決定するカギとなる因子であるかどうかを明らかにすることを目的としている。そのために本年度は、自発神経活動パターンの脱同期に関与すると考えられる抑制性回路の発達機構を明らかにするとともに抑制性回路の薬理学的操作、遺伝学的操作、および光遺伝学的操作によるパターン自体の操作手法の確立を計画していた。薬理学操作についてはGABA-A受容体のアンタゴニストでは自発神経活動のパターンは変わるものの、GABA-B受容体やドパミン受容体に対するアンタゴニストによってパターンの変化は見られず、少なくともこれらの神経伝達機構は自発神経活動の脱同期に関与していないことが明らかとなった。また、遺伝学的操作についてはGABA産生を減弱させたGAD67(+/-)マウスの解析を行い、わずかではあるが刈り込みに異常が生じることがわかった。また、チャネルロドプシンを発現するマウスや光刺激を行う実験系を整えることができたため、当初次年度の計画として挙げていた光刺激によるパターン操作および刈り込みに対する影響を繰り上げて行うこととした。概ね実験系としては確立したものの、新生仔脳におけるChR2の有効性について検討が必要である。また、樹状突起の接続特異性を決める細胞内シグナル分子についてはし僧帽細胞にCRISPR/Cas9ベクターや候補遺伝子の導入を行うことにより、樹状突起刈り込みに関与する遺伝子をいくつか特定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞内シグナル分子についてはいくつかの細胞骨格制御にかかわる遺伝子を同定できたものの、当初の予定と実験の順序を組み替え光刺激実験に注力したため、抑制性回路の発達機構についてはいくつかの条件検討を除き目立った進展がなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、棚上げになっていた抑制性回路の発達機構について研究を進めるとともに、サブタイプ特異的に神経伝達を抑制したマウスを用いて樹状突起刈り込みの解析を行う予定である。樹状突起の接続特異性を決める細胞内シグナル分子の候補については、神経活動との関係性および細胞骨格系の制御メカニズムとの関連性を明らかにする。
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