研究課題/領域番号 |
17K14961
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
PARAJULI Bijay 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00748783)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒトミクログリア / ヒト化マウス |
研究実績の概要 |
ミクログリアは、これまで脳内の免疫細胞として考えられてきたが、神経再生、シナプス新生ならびに神経ネットワークの切り替えなど、実に多彩で重要な脳機能に深く関与していることが明らかになっている。また、動物モデルではミクログリアの機能異常がてんかんやうつ病といった難治性中枢性疾患の発症及び増悪に大きく関わっていることも最近数多く報告されている。ミクログリアの研究は主にマウスミクログリアを中心に行われてきた。一方で、ヒトミクログリアの研究も一部行われているが、これらは主にin vitro 実験系で展開されている。しかし、マウスミクログリアとヒトミクログリアはその分子発現及び機能に大きな差があること、ミクログリアの性質はin vivo とin vitro で予想以上に乖離があること等が問題となっている。したがって、ミクログリアを標的とした治療戦略の確立のためには、in vivo 実験系におけるヒトミクログリアの理解が急務である。 そこで、平成30年度まではiPS 由来のヒトミクログリアをマウスの脳内に移植し、移植後の各時点(7, 14, 28日後)における脳を採取し、PFA 固定標本を作製し、ヒトミクログリア特異的な抗Stem121抗体を用いて免疫組織学的解析を行い、iPS 由来ヒトミクログリアの性質を形態学的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度まではマウス脳内に移植したiPS由来のヒトミクログリアの定着は主にヒトミクログリアヒト特異的な抗Siglec-11 抗体を用いて行っていたが、マウスミクログリアとヒトミクログリアの脳内における性質を形態学的に比較するには同一個体においてマウスミクログリアとヒトミクログリアを区別しなければならない。ヒトミクログリアヒト特異的な抗Siglec-11 抗体はマウスミクログリアのみを認識できる抗体またはヒト及びマウスミクログリアどちらも認識できる抗体と相性が悪かった。そこで我々は様々な抗体を検討した結果、ヒト細胞特異的な抗Stem121抗体とヒト及びマウスミクログリアどちらも認識できる抗Iba1抗体の組み合わせが有用であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は移植したiPS 由来ヒトミクログリアとホストのマウスミクログリアとの関連性(排除・共存)、増殖の有無、脳部位による形状の差、活性化の有無等を正確に解析し、ヒト化マウスの評価系としての有用性および問題点を明確にする。また、今年度までの研究成果を学術誌に論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画がやや遅れたため予定していた抗体、試薬等を購入しなった。 今年度は、抗体及び試薬等の購入に充てることを予定している。
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