脳機能を担っているのは神経細胞が作る精緻な神経回路である。したがって、神経細胞が的確な場所へと軸索を伸ばし、適切な相手とシナプスを形成するに至る「標的認識」を担う分子機構を解明することは、神経回路形成の仕組みや脳機能の基盤理解につながることが期待できる。 脳が傷害を受け神経回路が途切れると、重篤な機能障がいが生じるが、リハビリテーションを行えば代償機構によって一部の機能は回復する。代償機構を担うのは側枝形成による神経回路の再編成である。したがって、標的認識の分子機構を解明することは、代償機構を向上させ、神経機能を回復させる新たな治療法の開発につながると期待できる。
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