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2017 年度 実施状況報告書

軸索ガイダンス分子の長期記憶形成における役割

研究課題

研究課題/領域番号 17K14964
研究機関横浜市立大学

研究代表者

實木 葵 (高橋葵)  横浜市立大学, 医学研究科, 特任助手 (80760074)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードセマフォリン / 軸索ガイダンス
研究実績の概要

長期記憶の形成には新規の遺伝子発現やタンパク質合成が必須であることが明らかになっているが,どのような分子により制御されているかについては未だに明らかではない.分泌型軸索ガイダンス分子セマフォリン3A(Sema3A)が記憶形成の分子基盤であるAMPA型受容体をシナプスへ移行し短期記憶の成立に必要であることを明らかにした.従って,Sema3Aの長期記憶の形成,AMPARsの新規合成を制御するかを検証する.Sema3Aが長期記憶形成に関与する場合,この機構の障害による精神疾患や記憶障害の病態解明や創薬のターゲットとなることが期待される.
本年度は,まず長期記憶形成時における分泌領域を特定する上で,Sema3Aが記憶形成時にどの領域より分泌されるかをSema3Aの分泌を可視化する事が可能な変異マウスを用い免疫組織化学染色法により検証した.
海馬学習依存的な受動的回避行動試験実施後,4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定し,ビブラトームにて脳切片を作成し海馬領域にてプレシナプスマーカー,ポストシナプスマーカーと分泌Sema3Aを共染色した.その結果,分泌Sema3Aはプレシナプスマーカーと共局在している事が明らかになった.以前より,in vitroの系でSema3Aは有芯小胞に内包されている事が報告されている.この結果は,記憶が形成される際に有芯小胞を介してプレシナプスより分泌されることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Sema3Aの分泌を可視化する事が可能な変異マウスを用いて,長期記憶形成時の分泌領域を特定する上で,まず記憶形成時における分泌領域を明らかにする事ができた.一方で,長期記憶形成時におけるSema3A機能阻害抗体を用いた機能評価を行えておらず,さらなる検証が必要なため.

今後の研究の推進方策

平成30年度は当初の計画通り進めていく予定である.Sema3AがAMPARsの新規合成に関与しているかを明らかにするため、初代海馬分散培養15日目にSema3Aとタンパク質合成阻害剤であるアニソマイシンを添加する。60分後に細胞を固定し、細胞表面のGluA1の発現量を免疫化学細胞染色にて解析する。またSema3A機能阻害抗体を用い長期記憶形成時における機能評価を行う.

次年度使用額が生じた理由

現在得られている予備的な結果より,当初の予想より解析対象が多くなる可能性が考えられた.動物の凍結胚からの個体の作成や抗体の作成,動物脳内へのインジェクションに使用する機器など必要になる.そのため,平成29年度の未使用残額をこれらに充てるため繰越申請を行う.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] CRMP2-binding compound, edonerpic maleate, accelerates motor function recovery from brain damage2018

    • 著者名/発表者名
      Abe Hiroki、Jitsuki Susumu、Nakajima Waki、Murata Yumi、Jitsuki-Takahashi Aoi、Katsuno Yuki、Tada Hirobumi、Sano Akane、Suyama Kumiko、Mochizuki Nobuyuki、Komori Takashi、Masuyama Hitoshi、Okuda Tomohiro、Goshima Yoshio、Higo Noriyuki、Takahashi Takuya
    • 雑誌名

      Science

      巻: 360 ページ: 50~57

    • DOI

      10.1126/science.aao2300

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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