研究実績の概要 |
当研究グループは劣性遺伝性若年性パーキンソン病(PD)の原因遺伝子として、parkin遺伝子の2アレル変異を単離し、さらにparkin遺伝子の1アレル変異においては比較的若年で発症する傾向を確認している。本研究は、parkin遺伝子の1アレル変異に着目し、その発症メカニズム解明を目指す。申請者は2つの仮説を立てた: 仮説①parkinのイントロン領域に、発症に深く関わるvariantが存在している。仮説②parkin以外の疾患修飾遺伝子が発症に関わっている。 <仮説①の検証> (i) parkin1アレル変異患者と50名、(ii) parkin2アレル変異患者106名、(iii) 健常コントロール132名、合計288名でイントロン領域の解析を行った。遺伝子解析は終了し、情報解析中であるが、parkinは巨大遺伝子でありそのイントロンにはリピート配列が多く含まれ、より正確なデータ解析のためには、今回用いたショートリードではなく、今後ロングリードNGSでの解析が必要であり検討中である。 <仮説②の検証>既知のPD関連遺伝子や、parkinと関連が推測される遺伝子、リソソーム病原因遺伝子、合計79遺伝子をリストアップし、上記の(i) (ii) (iii) の3群で、遺伝子解析を行った。(i) parkin 1 アレル変異患者群 vs (iii)コントロール群の比較によりGene Xのvariant A が、発症riskとなる可能性を見出した (19% vs 10%, P=0.035, OR 2.02, 95%CI 1.00-4.00)。Gene Xはparkinの発現量を調整することで、PDの細胞モデルで細胞死に対し保護的に働くことが知られている。現在、細胞実験系を用いて Gene Xのvariant Aがparkinの発現に与える影響について解析を進めている。
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