H30年度は前年度に整備したイオンモビリティ(IM)・質量分析(MS)による分析およびデータ解析システムの拡充と実際の動物モデルの試料への適用を行った。 神経伝達物質とその代謝物の定性に関しては標準品として入手可能な化合物に制限があったため、前年度のCollision Cross Section (CCS)予測パイプラインに加え、マウス脳抽出物のLC-IM-MSおよびMS/MSデータ解析(スペクトルマッチング及び類似度解析)により各化合物の精密Collision cross section (CCS)を得ることで CCSライブラリの拡充を行った。 イメージングデータの解析ソフトウェアに関してはIM-MSイメージングデータから位置情報、質量電荷比(m/z)およびCCS情報を抽出し、精密CCSライブラリをリファレンスとして定性を行った各化合物の分布イメージを再構築するアルゴリズムをMSIdVに実装した。 本研究で構築されたIM-MSイメージングデータ分析・解析システムを、統合失調症モデルとしてCuprizoneを投与したマウスから脳切片から得たIM-MSイメージングデータに適用し、本手法の検証を行った。その結果CCSとm/zによる神経伝達物質の代謝物の定性と定量情報からの代謝パスウェイの変動の可視化に成功した。
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