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2017 年度 実施状況報告書

組織再生における有核血球細胞の動態解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K14980
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

原本 悦和  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード血球細胞 / 血液凝固 / 止血
研究実績の概要

組織が損傷を受けた際、最初に起こる重要な生理反応が止血である。止血の際に形成される血餅には血小板と多くの赤血球がトラップされる。哺乳類以外の生物では、血小板の役割を果たす栓球と赤血球が有核であることから、無核である哺乳類とは異なる生理反応を示す可能性が考えられる。
アフリカツメガエルを用いて行ったこれまでの研究から、採血直後の血液試料と血液凝固後1時間経過した血餅試料の間で多くの遺伝子の発現量が変化していることを見出していた。本研究では、血液凝固後の経時的な遺伝子発現変化を明らかにするため、凝固反応後1-5時間の血餅試料を回収し、マイクロアレイを用いて網羅的な解析を行った。その結果、血液凝固後に上昇する遺伝子のセットが時間を追うごとに大きく変化していることがわかってきた。
血液凝固反応がそれぞれの細胞にどのような変化をもたらすのか明らかにするためには、各血球細胞種の動態を追跡する必要がある。両生類の血球細胞に関してはまだ情報が十分とは言えず、細胞の種類によってはマーカー遺伝子すらよくわかっていない。密度勾配遠心法やフローサイトメーター等を用いて、各血球細胞を分取する方法の最適化を進めてきた。現在、一部の血球細胞に関するマーカー候補遺伝子の解析を進めている。細胞を分取する手法が確立した段階で網羅的遺伝子発現解析を行い、その結果に基づいてマーカー遺伝子を選定する。糖鎖構造も血球を区別する重要な要素となることから、各血球細胞の表面糖鎖構造を認識して特異的に結合するレクチンの選定も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画していた、「血液凝固時の経時的遺伝子発現の網羅的解析」、「各種血球マーカーの探索」、これらすべてを実施した。血液凝固後時間を追って発現が変化する遺伝子群を明らかにした。遺伝子発現変化の生理学的意義について今後解析を進める。また、血球細胞に発現する新規因子を同定した。現在、どの細胞種に発現しているのか詳細な解析を進めている。各血球細胞を正確に分取する方法の最適化に時間を要しているが、研究計画全体はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

ネッタイツメガエルは2010年、アフリカツメガエルは2016年にゲノムが解読された。これらの情報を元に新たに設計したプローブを搭載したマイクロアレイの作製を進めている。今後は新しいマイクロアレイチップを用いて遺伝子発現変化やマーカー候補遺伝子の探索を進めるとともに、ネッタイツメガエル・アフリカツメガエルなど両生類間での比較解析も検討している。血液凝固反応のあと経時的に発現が変化する遺伝子群についてパスウェイ解析などを進めることで、血球細胞にどのような変化が起こっているのか全体像の把握に努める。また、同定した血球マーカー候補遺伝子が生体内でどのような役割を果たしているのかについても研究を進める。
近年目覚ましい発展を遂げているゲノム編集技術を用いてマーカー遺伝子にレポーターを導入する、蛍光標識したレクチンで生染色する、血球細胞を選別後に蛍光遺伝子等を導入する、などの方法により各種血球細胞の挙動をリアルタイム観察することを計画している。組織損傷後もっとも初期におこる生理反応の一つが止血機構である。ラベルした血球細胞を止血反応後経時的に回収して遺伝子発現解析を行い、血液凝固反応を伴う創傷治癒の過程において各血球細胞がはたす役割を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

予定していたマイクロアレイの設計が遅れており、アレイチップ及びその関連試薬等の購入に充当する予定額が次年度使用額となっている。マイクロアレイの設計が完了次第、計画通り研究を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 組織再生における有核血球細胞の役割2017

    • 著者名/発表者名
      原本悦和、梶山康平、小沼泰子、伊藤弓弦
    • 学会等名
      第11回ツメガエル研究集会

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公開日: 2018-12-17  

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