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2017 年度 実施状況報告書

T細胞,B細胞受容体レパトア解析新技術を用いた乳癌治療効果予測モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K15006
研究機関東北大学

研究代表者

宮下 穣  東北大学, 大学病院, 助教 (60710788)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード免疫バイオマーカー
研究実績の概要

本研究を計画した背景として、ヒト腫瘍免疫機構において、多様ながん抗原を患者(宿主)のリンパ球が認識する為には患者個々のT細胞受容体(TCR)とB細胞受容体(BCR)の多様性が重要と仮説されている。しかし詳細は未だ解明されておらず、その大きな要因にTCR,BCRの網羅的解析技術が無かったことが挙げられる。我々はこれまでに乳癌において種々の腫瘍免疫関連因子とその治療による変化が、治療効果・予後予測に有用であることを証明し、高い評価をうけてきた。これらを基に、TCR,BCR多様性や癌特異的なTCR,BCRクローン、またそれらが治療効果に及ぼす影響を解明することを目的とした。新たなアプローチから治療効果予測モデルを開発し、個別化治療実践のためのツールとすることが、最終的な目的である。まずここまではトリプルネガティブ乳癌症例を対象に、臨床検体(治療前後の乳癌組織)を用いて、各種免疫バイオマーカーの測定を行った。また、それらの免疫バイオマーカーが実際に組織上で同様に分布しているかの形態学的解析も併せて行った。その結果、細胞障害性T細胞のマーカーであるCD8陽性T細胞と、最も重要な免疫チェックポイントのひとつであるPD-L1の発現パターンによって、4つのタイプ(Inflamed/PD-L1pos, Inflamed/PD-L1neg, Excluded, Immune desert)に分類された。NAC後の遺残腫瘍でInflamed/PD-L1negであった症例はInflamed/PD-L1posと比較し有意に予後良好であった(P=0.0365)。一方であり、その後の予後予測であったり、追加治療の必要性を予測できる可能性が示唆された。辺縁にリンパ球浸潤を認めるExcludedは, 全く認めないImmune desertと比較し同等に予後不良であった(P=0.371)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ある一定の結果は得られているが、目的を達成するための血液検体の収集が遅れている。

今後の研究の推進方策

血液検体の収集体制について、既に改善を行い遂行している。今後はこれらをもとにT細胞受容体(TCR)とB細胞受容体(BCR)の多様性の解析を行い、これまで蓄積した各種免疫バイオマーカーとの対比、さらには治療効果予測となるモデルの作成を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

血液検体のよる解析が予定通りに遂行できなかったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 1.Increased centrosome number in BRCA-related breast cancer specimens determined by immunofluorescence analysis.2018

    • 著者名/発表者名
      Watanabe G, Chiba N, Nomizu T, Furuta A, Sato K, Miyashita M, Tada H, Suzuki A, Ohuchi N, Ishida T.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/cas.13595

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 3.Effects of cytokines derived from cancer-associated fibroblasts on androgen synthetic enzymes in estrogen receptor-negative breast carcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi K, McNamara KM, Miki Y, Moon JY, Choi MH, Omata F, Sakurai M, Onodera Y, Rai Y, Ohi Y, Sagara Y, Miyashita M, Ishida T, Ohuchi N, Sasano H.
    • 雑誌名

      Breast Cancer Res Treat.

      巻: 166(3) ページ: 709-723

    • DOI

      10.1007/s10549-017-4464-5

    • 査読あり
  • [学会発表] 腫瘍免疫パターンから検討する免疫チェックポイント阻害剤の最適化2017

    • 著者名/発表者名
      宮下穣、杉江知治、平川久、玉城研太朗、鈴木昭彦、多田寛、渡部剛、原田成美、佐藤章子、濱中洋平、石田孝宣
    • 学会等名
      第25回日本乳癌学会学術総会
  • [学会発表] Biology of residual tumor after neoadjuvant chemotherapy2017

    • 著者名/発表者名
      Minoru Miyashita
    • 学会等名
      第15回日本臨床腫瘍学会学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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