HER2タンパクを標的としたハーセプチンは、HER2陽性の転移性胃癌に対して使用されているが、治療抵抗の機序については明らかになっていない。また、ハーセプチン治療中の腫瘍組織を用いた研究の報告は数少ない。本研究により、治療後にHER2タンパクの発現が消失する症例が約4割ほど存在し、IGF-1Rというタンパクが高発現する症例が治療後に増加することが示された。一方で、他の分子標的治療の効果に抵抗性となるKRAS, BRAFの遺伝子変異を有する症例でも、ハーセプチン治療の効果が認められた。また、HER2遺伝子(コピー数)の増幅がある症例では、ハーセプチン治療の効果が得られやすい傾向があった。
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