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2017 年度 実施状況報告書

革新的プロテオミクスによる膠芽腫診断マーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K15012
研究機関久留米大学

研究代表者

古田 拓也  久留米大学, 医学部, 助教 (20646690)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード膠芽腫 / バイオマーカー
研究実績の概要

SWATHプロテオミクスにより8種類の膠芽腫診断マーカー候補分子を抽出した。これらの分子のうち5種類は健常人血漿に比べて膠芽腫患者血漿で有意に増加し、他の3種類は逆に膠芽腫患者血漿で有意に低下していた。中でもgelsolin (GSN)の高発現は予後不良因子であることが統計学的に認められた。また、血管新生に関連する因子であるleucine-rich alpha 2 glycoprotein (LRG1)に関して、免疫組織化学を用いて膠芽腫55例、膠芽腫以外の神経膠腫37例、正常脳5例における発現強度を検討したところ、LRG1は膠芽腫組織で発現率が有意に高かった。このことはSWATHプロテオミクスの結果を支持するものであった。膠芽腫症例のみを対象として生存解析を行うと、LRG1発現は膠芽腫の予後良好因子である可能性が示唆された。SWATHのサブ解析でもLRG1と予後との逆相関の傾向が得られており、免疫組織化学による解析と一致した。腫瘍血管増生に働くと考えられているLRG1の逆説的意義に関してさらに検討をすすめている。
以上よりSWATHで抽出されたマーカー候補分子は臨床病理学的に単独でも強力な予後規定因子となりうることが示された。一方で、膠芽腫の診断に有用なマーカーとして確立するほど感度、特異度が高くないため、基礎実験で有力と考えられる複数の候補分子の組み合わせによるパネル化を行い診断精度の向上をはかる必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

所属施設における細胞株の培養条件の決定に時間を要したこと、患者由来細胞株樹立の成功率が予想よりも低いことが基礎実験の進捗を遅らせている。

今後の研究の推進方策

LRG1高発現が予後良好因子であることは、この分子が何らかの腫瘍環境因子として機能している可能性を示唆しており、膠芽腫細胞以外の細胞における役割まで視野を広げて検討する必要がある。腫瘍血管新生に関わる他の分子や腫瘍免疫に関わる分子との共発現について免疫組織化学による解析を行い、有意な結果が得られた分子については細胞株を用いた基礎実験で裏付けを得る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of blood biomarkers in glioblastoma by SWATH mass spectrometry and quantitative targeted absolute proteomics.2018

    • 著者名/発表者名
      Miyauchi E, Furuta T, Ohtsuki S, Tachikawa M, Uchida Y, Sabit H, Obuchi Wm Baba T, Watanabe M, Terasaki T, Nakada M
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 13 ページ: e0193799-821

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0193799

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] SWATHプロテオミクスによる膠芽腫バイオマーカー探索2017

    • 著者名/発表者名
      古田拓也、小牧哲、宮内英輔、内田康雄、立川正憲、寺崎哲也、中田光俊
    • 学会等名
      第76回日本脳神経外科学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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