メトホルミンのTregに対する直接作用の検討を行うために、in vitroにより実験を行った。 Tregは胸腺由来のnatural occurring Treg(nTreg)と局所で誘導されるinducible Treg(iTreg)に大別される。nTregをin vitroでメトホルミン存在下、非存在下で培養し、またメトホルミン処理後に抗CD3抗体、抗CD28抗体、TGF-β、IL-2により異なった条件で刺激培養を行い、Tregを増殖誘導した。刺激後、サンプルを回収し、各遺伝子・分子の発現をqPCR法やウェスタンブロット法により解析した。また、non Treg細胞をin vitroでメトホルミン存在下、非存在下で培養した。その後はnTregと同様に刺激培養してiTregの分化誘導を行い、解析した。nTregにおいてはメトホルミン処理を行っても有意な差を認めなかったが、iTreg誘導実験では、メトホルミン処理を行うとFoxp3陽性細胞は有意に減少した。また、誘導されたFoxp3陽性細胞は細胞死が誘導されていることを確認した。 flux analyzerによるTreg誘導時の代謝変化の解析を行った。Seahorse社のflux analyzerは細胞の代謝解析において非常に注目されている。flux analyzerは培養ウェルに微小環境を作り、細胞の酸素消費量(OCR: Oxygen Consumption Rate)とpH(ECAR: Extra Cellular Acidification Rate)の変化により、TCA回路の亢進および解糖系の亢進をそれぞれ測定することができ、同機器を使用してiTregの代謝変化の解析を行った。メトホルミン処理を行った細胞では解糖代謝が亢進していることを明らかとした。
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