本研究は、通常型樹状細胞(cDCs)の活性化制御分子として炎症反応・抗原特異的T細胞応答・免疫病態を負に調節しているCタイプレクチンレセプターファミリーに属するClec4A4分子が新規免疫チェックポイント分子として機能するかどうかを明らかにすることを目指している。cDCsに発現している活性化制御分子であるClec4A4は、細胞内ドメインに免疫受容体抑制性チロシンモチーフ(ITIM様配列)を有することから細胞内シグナル伝達を介してcDCsの機能を制御することが期待される。平成31年度は、樹状細胞株(DC2.4)にClec4a4をレトロウイルスベクターを用いて導入し、Clec4a4を安定に発現する細胞株(DC2.4-Clec4a4)を得た。この細胞を用いて、前年度に得たハイブリドーマ 由来のClec4A4機能阻害抗体クローンの選択を行った結果、Clec4a4を発現していないDC2.4細胞に比べDC2.4-Clec4a4細胞へ特異的に結合するクローンは認められなかった。これは、Clec4A4欠損マウスにマウス可溶型Cle4A4-ヒトIgFcキメラ分子とアジュバントの混合投与では同種間免疫となり、抗体の産生が制限されることが示唆された。この改良点としてラットにマウス可溶型Cle4A4-ヒトIgFcキメラ分子とアジュバントを混合投与することによりラット抗マウスClec4a4を作製する必要がある。今後は免疫動物をラットに変更し研究を継続する予定である。
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