本研究では、RET融合遺伝子陽性肺がんの薬剤耐性機構を明らかにし、その制御に向けた知見を得ることを目標に行った。RETチロシンキナーゼ阻害剤バンデタニブ耐性例より、RETタンパク質の活性化ループ上に薬剤耐性変異S904Fを同定した。さらに、細胞・精製タンパク質を用いた実験および分子動力学シミュレーション解析を行うことで、薬剤とキナーゼとの相互作用に変化を引き起こし、アロステリック効果によって薬剤結合が不安定化する過渡的なタンパク構造を誘導させることを見出した(Nakaoku T, et al. Nat Commun. 2018)。
|