研究実績の概要 |
本研究は、診断技術や治療技術の向上にも関わらず治癒率の低い難治がんへの新規治療アプローチの開発を大目的とし、オミックス解析を展開、公共データベースに登録されている網羅的ゲノム・臨床情報を統合利用することにより、それらの予後予測因子、治療効果予測因子、および治療標的の同定を試みる。 本年度は、500症例以上の肺がん臨床検体及び100例以上の肺がん細胞株を対象とした免疫組織染色・定量的RNA発現解析により、神経内分泌腫瘍の判別マーカーとしてStathmin-1が有用であることを示し、論文として発表した(Shimizu K, Goto Y, Kawabata-Iwakawa R, Ohtaki Y, Nakazawa S, Yokobori T, Obayashi K, Kawatani N, Yajima T, Kaira K, Mogi A, Hirato J, Nishiyama M, Shirabe K. Stathmin-1 is a useful diagnostic marker for high-grade lung neuroendocrine tumors. Ann Thorac Surg. Volume 108, Issue 1, July 2019, Pages 235-243)。 また、肺扁平上皮がん臨床検体144症例と2例の細胞株を対象とした免疫組織染色・次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析により、肺扁平上皮がんの新規治療標的の策定を行っており、論文投稿中である。 乳がんに関しては、新たな標的分子を同定し、現在、多数の臨床検体を対象に確認を進めている。 さらに、高齢者がんの特性に着目した、マルチオミックス解析によるバイオマーカー・標的ネットワークの探索を行っている。
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