研究課題/領域番号 |
17K15039
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 佑佳子 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50646768)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 栄養バランス / 適応 / 種間比較オミクス |
研究実績の概要 |
ヒトを含む自然界の生物は、各々にとって適切な栄養を摂取することで生命活動を行っている。しかし、栄養バランス変化に対して、個体はどのように応答し適応しているか、そしてその適応能力や生体応答は生物種間でどのように異なるかについては、これまでほとんどわかっていない。モデル生物キイロショウジョウバエ は、自然界では全世界の人家近くに生息し、発酵した多種類の果物を食性とする(広食性)。一方、その近縁種の中には、特定の地域に生息し、発酵した単一の植物のみを食性とする(狭食性)種も存在する。これらの種間での比較マルチオミクス解析から見えてきた、栄養バランス変化に対する生体応答や適応能力のちがいを基に、適応能力を支える分子機構の解明を目指す。 幼虫全身を用いたメタボローム解析によって、広食性のキイロショウジョウバエでは代謝の恒常性を維持しているのに対して、狭食性種では、多数の代謝産物が高炭水化物食条件下で増加していることがわかった。Activin シグナリングの変異体のキイロショウジョウバエでも、同様に代謝産物が増加していた。広食性種の代謝恒常性の維持は、Activin シグナリングによる栄養依存的な遺伝子発現調節機構によって支えられていると考えており、その実体について現在解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広食性種、狭食性種の野生型に加えて、Activin シグナリングの変異体のキイロショウジョウバエの全身を用いたメタボローム解析や、全身あるいは組織特異的な RNA-seq 解析を行った。その結果、食餌間での遺伝子発現応答や代謝産物変化において、Activin シグナリング変異体と狭食性種との類似性を見出している。
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今後の研究の推進方策 |
RNA-seq データの統合解析により、Activin シグナリングによる栄養依存的な遺伝子発現調節機構の解析を進めていく。また、広食性と狭食性とでは Activin シグナリングの栄養依存的な働きのどの部分に違いがあるために、適応能力に違いが生じているかの解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画に従い順調に研究を進めた結果、Activin シグナリングの標的組織の特定や、その組織での遺伝子発現調節における役割について解析することができた。これらの結果をふまえた上で立てた仮説を検証していく必要があるため、次年度使用額が生じた。 関連する複数の遺伝子について、変異体を用いた機能解析などを計画している。
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