研究実績の概要 |
当研究室では、ニワトリDT40細胞を用いて、人為的なセントロメア除去により、新たな位置にセントロメア(ネオセントロメア)を形成させる技術を確立している(Shang et al., Dev Cell, 2013)。申請者は、ネオセントロメアには反復配列がないことを利用して、このDT40細胞の間期核を対象としたゲノムワイド解析(4C-seq)を行うことで、間期核内のセントロメアに特異的な相互作用部位の同定に成功した。その結果、(1) セントロメア領域は特定のヘテロクロマチン領域と相互作用していること、(2) 異なった染色体のセントロメア同士での相互作用があるという2つの特徴を見出すことができた。また申請者自身が開発を行なった迅速なタンパク質除去法であるオーキシンデグロン法を用いることによりCENP-CおよびCENP-Hの除去を行なったところ、CENP-Hを除去した細胞でのみ、セントロメアとヘテロクロマチンとの結合が低下するということが明らかとなった。これらの結果は間期の核内構造の中でセントロメアが特殊な構造を構築しており、この構造にセントロメアタンパク質がそれぞれ独立して関わっていることを示しているとともに、申請者の構築したオーキシンデグロン法とゲノムワイド解析の組み合わせにより、このような核内構造構成因子の役割にまで迫ることができることを示す重要な実験となった。
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