p53は、代表的ながん抑制タンパク質であり、がん患者の4割以上がp53遺伝子に変異を有する。p53は、特定のDNA配列を認識して結合し、近傍領域にコードされた遺伝子の転写を活性化する「転写因子」とよばれるグループのタンパク質であるが、ヌクレオソームを形成しているDNA配列を認識可能であるという点において、一般的な転写因子とは異なる性質を有する。本研究ではこの性質の理解を目指して研究を行った。本研究の成果は、p53が、がん抑制の最上流で働くメカニズムを理解する上で重要な知見である。これらの知見は将来的には、がん抑制メカニズムの理解や、がんに対する治療法の確立につながる。
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