生物システムは一般に、厳しい環境条件下においても表現型と遺伝子型を柔軟に変化させ、環境に適応することが可能である。こうした適応進化過程において、ゲノム遺伝子配列の変化を伴わないエピジェネティクス機構が重要な役割を果たすことが示唆されている。本研究ではエピジェネティクス機構に関わると予想される遺伝子群(核様体結合タンパク質;NAPs)の破壊が適応進化過程にどのような影響が生じるのかを詳細に解析し、その分子基盤を明らかにすることを目的とした。結果として、NAPsの一つであるLrpの破壊は、薬剤耐性化に有効な遺伝子変異を獲得できなくなることにより、適応進化の方向性に影響を及ぼすことが示唆された。
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