研究課題/領域番号 |
17K15056
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
角谷 拓 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (40451843)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 生物群集 / 生態系機能 / キーストーン / 安定性 / 食物網 |
研究実績の概要 |
2018年度までに、トンレサップ湖の主要魚種について調査された、胃内容物データ・安定同位体データの収集・整理を行い、その情報をもとに季節的な水位変化および生態系サイズの変化にともなう各種魚類の食性変化パターンの解析を行った。さらに、生態系のサイズの季節的変化が食物網の安定性に及ぼす影響に関する理論モデルを構築した。これらの結果を論文にまとめ、国際学術誌に公表した。また、湖沼における長期モニタリングのデータを活用し、生態系の生産性および水質、動物プランクトン、魚類等の動態との相互作用の実態を分析し、湖沼を特徴づける重要な要素の一つである生産性がボトムアップによって特徴づけられる生態系要素間の因果関係によって駆動されていることを明らかにした。これらの結果を論文にまとめ、国際学術誌に公表した。 2019年度は、これらの研究成果をさらに発展させ、霞ヶ浦における遺伝情報を用いた詳細な生物群集モニタリングデータを解析し、群集全体の動態と個別の種・分類群の動態との関係を分析・類型化することで、群集全体の動態に影響の大きな分類群を特定することを目指す解析を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿った、①トンレサップ湖における食物網データ解析および②食物網内のキーストーン相互作用の特定手法の開発については、先行して進め2019年度初めまでに論文等での成果公表まで達成した。一方で、当初計画から発展的に展開する予定としていた遺伝情報にもとづいた詳細な湖沼モニタリングデータの分析については、研究代表者の所内業務との関係で予定通り進まなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿った①トンレサップ湖における食物網データ解析および②食物網内のキーストーン相互作用の特定手法の開発については、先行して進め2019年度初めまでに論文等での成果公表まで達成しており、今後の研究については、発展的な計画として、遺伝情報にもとづいた詳細な湖沼モニタリングデータの分析を課題に加え、残りの期間に取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2019年については、所属機関・企画部・研究企画主幹兼務により、6カ月間研究業務を実施ができない期間があったため。次年度使用額については、湖沼の観測データ解析を速やかに進めるため、データ入力・解析の補助のための人件費として利用する計画である。
|