乾季と雨季で水位が大きく変化するトンレサップ湖の季節的食物網の構造と安定性特性の変化の実態を明らかにすることを目的とした。胃内容物および窒素安定同位体比の分析から、特に、小型の魚食性魚種については、雨季に栄養段階の低下がみられることが明らかになった。この栄養段階の低下は、餌生物として無脊椎動物や植物性のものの比率が大きくなるためであることが示唆された。さらに、数理モデルによる食物網解析から、動物プランクトンと甲殻類の食うー食われる関係が不安定化しやすいこと、また、その安定化には、雑食性の魚種が重要な役割を果たす場合多いことが示唆された。
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