今年度は、SYP-1リン酸化のダイナミクスを詳細に解析した。具体的には、リン酸型SYP-1抗体を用いた免疫染色の定量化より、SYP-1が減数分裂前期に、二段階でリン酸化されることを明らかにした。具体的には、SYP-1はタンパク質が発現する減数分裂の開始期にすでに一部がリン酸化されているが、減数分裂前期が進行するに従って、交叉が作られ、Late pachytene期に細胞周期が入ると、そこで再度リン酸化されることがわかった。交叉が作られない変異株においてリン酸型SYP-1の抗体染色を行うと、Late pachytene期、それ以降においてSYP-1リン酸型のシグナルが有意に弱くなることから、交叉依存的に、なんらかのキナーゼがSYP-1を新たにリン酸化していることが示唆されたた。また、非リン酸型SYP-1タンパク質にタグをつけて、その局在をリン酸型SYP-1と比較したところ、交叉形成後に、リン酸型SYP-1が短腕に集積し、長腕からは解離する際、非リン酸型のSYP-1は、特に局在を変化させない(特に長腕に集積するわけでもなく、また短腕から解離するわけでもなく)ことがわかった。これより、交叉形成後に短腕へ正味の移動をするのはリン酸型SYP-1であることがわかった。
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