研究課題/領域番号 |
17K15069
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉田 周平 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 研究員 (20363997)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 減数分裂 / 卵母細胞 / 紡錘体 / 動原体 |
研究実績の概要 |
染色体を分配する紡錘体が二極性であるということは非常に重要である。しかしながら哺乳動物の卵母細胞には、多くの体細胞とは異なり紡錘体の極性を決定付ける中心体が存在しない。そして卵母細胞において紡錘体が二極性化する機構は未だ明らかになっていない。現在までに我々は微小管と染色体とを接続する動原体の構成タンパク質が、卵母細胞では紡錘体の二極性化に必要であることを明らかにした。中心体の無い卵母細胞においては動原体が紡錘体の二極性化に重要な機能を担っていることが予想される。 そこで、動原体構成タンパク質が動原体において紡錘体の二極性化に機能しているかを明らかにするために、動原体構成タンパク質に変異を導入し、動原体への局在と紡錘体の二極性化に相関性があるかを検討した。さらに変異型タンパク質を作製することにより、微小管との接続能と紡錘体の二極性化の関連についても検討した。 またマウス卵母細胞においては動原体近傍において逆方向性の微小管束形成が促進しているかを明らかにするために、卵母細胞の紡錘体形成における経時的な微小管の観察を行った。その結果、卵母細胞では紡錘体形成初期においては様々な方向から伸びた微小管が動原体へと接続されており、それらが減数分裂の進行に伴い二極性化していることが明らかになった。 これらの結果より、マウス卵母細胞においては動原体の機能が紡錘体の二極性化に重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中心体の無いマウス卵母細胞においては動原体の機能が紡錘体の二極性化に必要であることが予想された。 変異型動原体タンパク質の作製や変異型タンパク質の機能解析についても進行中である。 また、卵母細胞における微小管の詳細な観察を行うための条件検討も進んでおり、卵母細胞内の微小管の配向性を解析する準備も整ってきている。 一方で、卵母細胞内においてsiRNAなどによって標的タンパク質を抑制することは難しいため、ノックアウトマウスの作製なども検討中である。 次年度ではより具体的な紡錘体の二極性化機構の解明を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
マウス卵母細胞においては動原体の機能が紡錘体の二極性化に必要であることが予想される。さらに紡錘体の二極性化に必要な微小管相互作用タンパク質が動原体へと局在していることから、これらの微小管相互作用タンパク質に変異を導入、あるいは発現を抑制することにより、動原体におけるこれらタンパク質が紡錘体の二極性化に機能しているかを明らかにする。 また動原体近傍では紡錘体の二極性化に伴い、周囲に接続されている微小管が多極性方向から二極性方向へと変化していく。卵母細胞において紡錘体の二極性化に伴う微小管の配向性と、動原体の機能を抑制した場合に観察される微小管の配向性を比較することにより、動原体が紡錘体の二極性化にどのように機能しているかを明らかにする。 これらの結果より我々の「動原体を基点とした紡錘体の二極性化モデル」を検証し、マウス卵母細胞において紡錘体が二極性化する機構を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の変更により、購入予定の物品、及びその時期に変更が生じた。またマウスの卵母細胞を用いた実験が当初の予定より増えるため、マウスの購入、及び飼育管理費の増加、そして卵母細胞の実験に用いる物品購入の増加が見込まれる。
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