研究課題/領域番号 |
17K15077
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
徳田 栄一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (00757510)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | クロスシーディング / タンパク質凝集体 / 筋萎縮性側索硬化症 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンの脱落により、進行性の骨格筋萎縮をきたす神経変性疾患である。ALSの病因遺伝子としてsuperoxide dismutase-1(SOD1)の変異が同定されている。SOD1変異を伴うALSの主要な病理学的特徴として、SOD1タンパク質より成る線維状凝集体が知られている。助成者は、これまでSOD1凝集体が有する「シーディング現象」に着目し、ALSの病態への寄与を検討してきた。 本課題では、SOD1変異を伴うALSの約98%は優性遺伝に従い、変異型SOD1と野生型SOD1が共発現している事実に着目し、変異型SOD1と野生型SOD1の相互作用、すなわち、変異型SOD1凝集体を鋳型とした野生型SOD1に対する「クロスシーディング」がALS病理に果たす役割をモデルマウスを用いて検討した。 ALSで汎用されているマウスモデルは、点突然変異型のSOD1が導入されているため、物理学的・生物学的性質が野生型SOD1と酷似している。このため、両タンパク質を共発現させた場合、免疫化学的に識別することができない。そこで、本課題では、C末端が切断されたフレームシフト型SOD1変異体を導入したマウスを利用し、共発現系でも野生型SOD1との識別を可能にした。変異型SOD1マウスと野生型SOD1マウスを交配させ、両タンパク質を共発現させたダブルトランスジェニックマウスを作製した。得られたマウスの運動ニューロン症状(麻痺発症、運動機能低下、致死性)を経過観察した。その結果、変異型SOD1のみが発現したマウスと比較し、変異型SOD1および野生型SOD1が共発現したマウスは、麻痺発症の早発、運動機能の低下、さらに、生存期間の短縮が観察された。すなわち、変異型SOD1および野生型SOD1の共発現は、マウスの運動ニューロン症状を憎悪させることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、変異型SOD1と野生型SOD1を共発現させたダブルトランスジェニックマウスを作製を試みた。作製にあたり、既存のトランスジェニックマウスライン同士を交配させる戦略を採用するしたため、ダブルトランスジェニックマウスを効率よく繁殖することに成功し、当初の予定通りに表現型解析を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
作製したダブルトランスジェニックマウスの中枢神経系を用いて、生化学的、及び、病理学的解析を行う。具体的には、変異型SOD1との共存により、野生型SOD1の構造異常が誘発されるかどうか、ミスフォールドSOD1特異的抗体を用いて、ELISA、免疫沈降法、及び、免疫組織化学を行う。
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