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2018 年度 実績報告書

機能的構造平衡に基づく刺激に適合したキナーゼシグナル選別機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15083
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

徳永 裕二  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (80713354)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードキナーゼ / シグナル伝達 / p38 / ストレス応答 / 基質特異性 / 立体構造 / 構造平衡 / 核磁気共鳴法
研究実績の概要

(1)平成29年度に、ストレス時の細胞内で生ずるpHの弱酸性化に伴い、p38はストレス応答における基質ATF2に対し高親和性となることを見出した。平成30年度は、pH依存性のメカニズムを証明するため、ATF2ドッキング配列に存在する5個のヒスチジン残基を、塩基性残基Lys+または親水性残基Glnに置換した変異体を複数作製し、p38との親和性解析を実施した。Lys+は弱酸性条件におけるHis+を、Glnは中性条件におけるHisをそれぞれ模倣する。この結果、ヒスチジン残基を欠失させることによりpH依存性が失われるとともに、5個のHis⇒Lys+/Gln置換の内、Lys+に置換する数が多い程、p38に対する親和性が高いことを見出した。このことより、His残基を介して環境pHを感知し、ドッキング配列上の電荷量を調節することにより、基質ATF2がストレス環境特異的に、p38により優先的なリン酸化を受ける機構を証明できた。
(2)p38の基質特異性に関わるp38の二重リン酸化について、Caシグナル下におけるカルモジュリン(CaM)の寄与を解析した。まず、生化学的解析より、CaM存在下では、上流のMKK6によるp38-pY⇒p38-pTpYの反応が効率化される結果、二重リン酸化が促進されることを見出した。そこで、p38-pYとMKK6、さらにはCaMの相互作用を溶液NMR法を用いて解析した。この結果、p38-1PYは、MKK6との複合体状態において、不活性・活性構造間の平衡状態にあることが明らかとなった。CaM存在下では、この平衡が不活性側へシフトした。活性構造はリン酸化されるべきThr残基が遮蔽されリン酸化されにくい構造であることを考慮すると、CaMはp38を不活性構造へ偏らせることでMKK6によるp38の二重リン酸化を効率化するものと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ATP濃度減少およびpH低下を伴うストレス条件下におけるMAPK p38αのシグナル伝達最適化機構の溶液NMR法による解明2019

    • 著者名/発表者名
      徳永 裕二、竹内 恒、高橋 栄夫、嶋田 一夫
    • 学会等名
      第9回定量生物学の会年会
  • [学会発表] 溶液NMR法を用いたMAPK p38αによるストレスシグナル伝達最適化の構造機構の解明2018

    • 著者名/発表者名
      徳永 裕二、竹内 恒、高橋 栄夫、嶋田 一夫
    • 学会等名
      第56回生物物理学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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