研究課題
ミトコンドリアはATP産生、カルシウム制御、アポトーシス制御、熱産生など多彩な役割を担い、細胞が生きていくために必要なオルガネラである。ミトコンドリアの電子伝達系から漏れた電子によって発生した活性酸素種は、ミトコンドリア自身にダメージを与え、ダメージが蓄積し機能不全に陥ったミトコンドリアはより多くの活性酸素種を生み出す。このようなミトコンドリアは、正常なミトコンドリアとの融合を介して回復するか、分解される。ミトコンドリアはミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)によって分解されており、マイトファジーはミトコンドリア恒常性維持に重要な役割を果たしていると考えられる。これまでに申請者は、マイトファジーはチューブ状のミトコンドリアの一部を外側から認識し、その部分をちぎりとるようにして分解することを発見した。マイトファジーは傷害ミトコンドリアを何らかの方法で認識し分解していると考えられるが、その詳細は未解明である。一方で、ミトコンドリアは独自にミトコンドリアDNAをもっており、ミトコンドリアDNAに対する変異は、ミトコンドリアの機能不全を引き起こし、ミトコンドリア病などの疾患の原因となる。本研究では、マイトファジーがどのようにして分解対象を認識しているか、その一つがミトコンドリアDNAかどうかについて解析を行った。まず、これまでに複数報告されているマイトファジーレセプタータンパク質に注目し、そのすべてを破壊した細胞を樹立し解析することで、低酸素や鉄欠乏条件でのマイトファジーに必須なレセプターを同定した。さらに、ミトコンドリアDNAや複数のミトコンドリア内タンパク質についてマイトファジーのターゲットになるかどうかについて解析し、低酸素と鉄欠乏でマイトファジーの基質が異なることが示唆された。
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