研究課題
ホモ・ヘテロ四量体から成るAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)は、神経細胞シナプス領域に集積し速い興奮性伝達をもたらすイオン透過型チャネルであり、記憶学習形成を担う分子として知られる。シナプス領域での受容体数が伝達効率に影響するため、その数の制御機構すなわちサブユニット同士の会合能の解析が重要となる。これまでにAMPAR主要サブユニットGluA1、GluA2上には特徴的なN型糖鎖が存在することを見出してきたが、四量体形成への影響については分かっていなかった。本研究では特徴的N型糖鎖がどのように神経細胞膜上でのAMPAR会合能へ影響を与えるかを調べるため、高精度一分子イメージング法や海馬初代神経細胞を中心に用いた解析を行い、以下の結果を得た。1)一部糖鎖が未成熟型糖鎖のまま維持されているHEK293細胞Cornichon(AMAPR補助サブユニットの一つ)安定発現株において、ホモの会合時間に変化は見られなかった。一方で、α1-6フコース転移酵素欠損HEK293細胞ではホモの会合時間が有意に低下していたことから、コアフコース構造が会合に影響を与える可能性を見出した。2)海馬初代神経細胞培養液中にN型糖鎖切断酵素を添加すると、スパイン数が有意に減少した。すなわち特定のタンパク質上のN型糖鎖が、スパイン形成に重要な働きがあることが示唆される。同じくHEK293細胞にGluA2を発現させN型糖鎖切断酵素を添加すると、N406位のN型糖鎖が特異的に切断されていることも分かった。従って、GluA2上の特定のN型糖鎖が四量体形成、ひいては神経細胞可塑的変化に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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PLOS ONE
巻: 14 ページ: e0210193
10.1371/journal.pone.0210193
Journal of Neurochemistry
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http://oka-lab.hs.med.kyoto-u.ac.jp/index.html