研究課題
個体や細胞の内部の生体分子やその集合体の挙動を解析する方法は、開口数の高い対物レンズを用いた光学顕微鏡ライブイメージングにほぼ限られる。しかし、開口数1.4の100倍油侵対物レンズを用いると、その焦点深度は300ナノメートルも無い。一般的な光学顕微鏡の光路は直径25.4mmなので、カメラのセンサーが十分に大きかったとして、縦・横が180マイクロメートル、高さが300ナノメートルの薄い平面領域しか計測が出来ない。平面的な培養細胞以外の、多くの生体組織や生体組織内の細胞は形状も動きも立体的である。これらの生体組織や組織内細胞、その内部の生体分子やその集合体の動きを計測するためには、計測法の開発が必要である。代表者は、高分解能に試料の立体的な構造と動きを計測するために、最終的に以下の2種類の計測方法を開発した。1、かける電圧で曲率の変わる液体レンズを高速で動かすことで、ピントを複数の高さに変えた場合の画像の積算画像(中間像)を取得。その積算画像(中間像)に、点拡がり関数の逆畳み込み処理をすることで焦点深度が広い最終的な像を取得する、コンピュテーショナルフォトグラフィのコンセプトの光学顕微鏡系。2、溶液環境下の生体試料を走査型電子顕微鏡でライブイメージングする方法。この2の方法は特に、高分解能計測と立体的で動的な対象の計測を両立させる方法として、進歩性が大きい。具体的には、高さ方向の計測領域が光学顕微鏡系の50倍以上で、直径20nmの繊維の計測も行えた。Abbeの公式に基づく光学顕微鏡の分解能は200nmである。その10倍以上の分解能をもち、立体的で動く試料の計測を可能とする本手法は、様々な計測に活用できると期待される。
(3)の研究成果は日経産業新聞(2019年7月11日)、(4)の研究成果は日経新聞(2019年5月7日朝刊)に掲載された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (5件)
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