細胞膜に存在する秩序的膜領域「脂質ラフト」は信号伝達の足場となることが知られ注目されている。ラフトの脂質充填構造はラフト様秩序領域と無秩序領域が相分離した人工膜を用いて研究されてきたが、秩序領域内部で生じる構造の不均一性についてはほとんど議論されていない。本研究では低流量走査電子線散乱法(LFSED)により、秩序領域内部の脂質炭素鎖充填構造を調査した。その結果、単一の領域内には炭素鎖の充填方向が異なる複数のサブドメインが存在することがわかった。さらに、領域の中央部では大きなサブドメインが形成さるのに対し、周辺部では比較的小さなサブドメインが形成することが分かった。
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