現在わが国では少子化や高齢出産化という課題に面しているが、哺乳類の受精は未だ不明なことが多い。本研究では、申請者らが発見した、卵子を活性化するはずの精子PLCz1蛋白質がないときのみに見られる弱い活性化能について解析した。結果、この弱い活性化は、顕微授精のような人為的な授精法で回避される、精子と卵子の細胞融合過程を経るときのみ観察され、低い頻度ではあるが子を成せることがわかった。また、たくさんの精子の融合で活性化能が強くなった。これは、臨床研究で示唆された活性化不全患者における他精子受精ともよく一致し、多くの精子が卵に融合するより原始的な受精様式とも共通することから、進化的な関連も示唆された。
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