研究課題/領域番号 |
17K15127
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
秋山 隆太郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00790403)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 器官サイズ / FGF / ロバスト性 |
研究実績の概要 |
生物の生命維持に必要な臓器や器官は、温度変化・栄養状態の変動などの撹乱(ノイズ)が発生過程に加わったとしても、ある程度決まった形やサイズで形成されることから、器官形成にはロバスト性があると考えられる。そのメカニズムに迫るため、ゼブラフィッシュ内臓の左右非対称性を規定する器官であるクッペル胞(KV)をモデル系とし、独自に構築したKV前駆細胞の数を自在に操作する実験系を利用する。KVサイズを操作しKVの機能(ノード流・内臓左右差の確立)を同一個体で評価することで、器官サイズを機能レベルで補償するためのメカニズムに迫る。本研究では、FGFシグナルによるKVの繊毛形成の調節と、塩化物イオンのトランスポータであるCFTRを介したKVサイズの調節、およびこれらのクロストークを明らかにする。 これまでに、KV細胞で細胞内FGFシグナル活性を定量する系を構築し、さらにTgゼブラフィッシュの樹立を行った。その結果、KV細胞でのFGFシグナルをモニターすることに成功した。一方、細胞外FGFの分布を定量するために、Fgf8a変異体ゼブラフィッシュ(ace)背景で、KV細胞にFgf8a-mVenus 融合タンパク質を発現するTgゼブラフィッシュの樹立を試みたが、解析に利用可能な個体は得られなかった。今後、蛍光タンパクからペプチドタグへと切り替え、内在性のFgf8にタグ配列を挿入したノックインゼブラフィッシュの作成を試みる。また、薬剤処理によってCFTRを活性化させると、KVサイズが増大しノード流が異常になるというデータを得ている。今後、これらの系においてKVサイズを操作し、KV機能の評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたシグナルモニター系のうち、一部について遅れが生じている。遺伝子改変の方法を修正し、今後全力ですすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外FGF分布を定量する系については、タンパクの標識方法を変更しノックインゼブラフィッシュを作成する。同時に、これまでに確立したKV細胞でのFGFシグナルをモニターする系、および薬剤処理によってCFTRを活性化させる系で、KV前駆細胞をレーザー除去し、KV内腔容積の変化およびKV機能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
作製を予定していたトランスジェニックゼブラフィッシュのうち、一部の作成方法に修正の必要が生じたため、次年度にこれを作製する。
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