研究課題
生物の生命維持に必要な臓器や器官は、温度変化・栄養状態の変動などの撹乱が発生過程に加わったとしても、ある程度決まった形やサイズで形成されることから、器官形成にはロバスト性があると考えられる。そのメカニズムに迫るため、ゼブラフィッシュ内臓の左右非対称性を規定する器官であるクッペル胞(KV)をモデル系とし、独自に構築したKV前駆細胞の数を自在に操作する実験系を利用する。KVサイズを操作しKVの機能(ノード流・内臓左右差の確立)を同一個体で評価することで、器官サイズを機能レベルで補償するためのメカニズムに迫る。本研究では、FGFシグナルによるKVの繊毛形成の調節と、塩素チャネルであるCFTRを介したKVサイズの調節、およびこれらのクロストークの解明を目指している。昨年度は、KV細胞で細胞内FGFシグナル活性をライブイメージングする系を構築し、KVサイズとの関係の評価を試みた。今年度は特に、KVサイズの調節機構に焦点を当てて解析を行った。その結果、イオンチャネル分子の阻害剤の一つを添加するとKVサイズの調節に異常をきたす事を見出した。現在、阻害剤の標的分子それぞれについて機能阻害実験を行うことで、KVサイズ調節における役割を評価しつつある。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Current Biology
巻: 30 ページ: 670~681.e6
10.1016/j.cub.2019.11.089