研究課題
転写因子導入によるヒトES細胞の分化誘導を制御するオープンクロマチンをゲノムワイドに同定するためにATACシーケンス法を行った。昨年度は、MYOD1導入によるES細胞-骨格筋変換におけるオープンクロマチンをATACシーケンス法によりゲノムワイドに同定したが、本年度はNGN2導入によるES細胞-神経細胞分化系においてATAC-シーケンスを行った。当初の計画では、骨格筋と肝細胞分化を行う予定であったが、肝細胞分化系は効率が悪く分化完了までに時間を要するため、代わりに分化効率の非常に高い神経分化系を用いた。NGN2導入により1週間でほぼ100%の細胞が神経へと分化するので、この間に変化するオープンクロマチンをゲノムワイドに解析した。その結果、骨格筋分化と同様に神経分化においてもES細胞からダイレクトな変換を起こすために特異的に出現するオープンクロマチン領域の存在が明らかとなった。すなわち、発生過程や成体の細胞において元来MYOD1やNGN2が結合するオープンクロマチン領域以外に、ES細胞に導入した際に特異的に出現するオープンクロマチン領域が存在することを明らかになった。さらにその領域にはMYOD1導入とNGN2導入で共通する領域が多くみられることがわかった。これら2タイプのオープンクロマチン領域により制御される近傍遺伝子が協調して働くことによって、ダイレクトな細胞性質変換が可能になると考えられる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Stem Cell Reports
巻: 12 ページ: 305-318
10.1016/j.stemcr.2018.12.018
Sci Rep
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-018-37485-8
Stem Cell Res Ther.
10.1186/s13287-018-1038-3