中枢神経系の細胞がたった数百しかないホヤ幼生は、行動を生み出す神経回路の形成と働きを、個々の細胞レベルで理解できる優れたモデルである。しかし、ホヤ研究の一般的な胚操作である卵膜除去が脳の発生を乱すため、幼生の脳にある細胞の数や種類は不明であり、神経回路の構成ですら未解明である。本研究では、開発した技術による細胞系譜解析を通して、ホヤ幼生の脳(脳胞)の細胞数を明らかにした。また、脳胞にある各種類のニューロンが運動を司る運動神経節のどの細胞に投射するかを調べた。脳胞から運動神経節だけでなく、運動神経節から脳胞への神経投射があることが示唆された。
|