研究実績の概要 |
本研究では、浮きイネの節間伸長応答への関与が明らかとなったジャスモン酸(JA)によるジベレリン(GA)応答の抑制メカニズムを明らかにするため、まず、JA生合成及びJAシグナル伝達関連遺伝子の形質転換体イネを作成し、表現型を調べることにした。浮きイネ形質転換体として、JA生合成の律速酵素であるAOS2の過剰発現体(JA含量が増加)とJA分解酵素であるCYP94Cの過剰発現体(JA含量が低下)を作成した。得られた形質転換体のホルモン含量を測定したところ、AOS2のJA含量はコントロールとほとんど変わらなかったが、CYP94C過剰発現体はコントロールよりもJA含量が低下しており、節間伸長も顕著に増加する結果が得られた。また、JA抑制因子であるJAZを過剰発現させた形質転換体もコントロールより節間伸長が顕著に増加した。さらに、深水処理によるJA含量の低下による内生ジベレリン(GA)含量やGAシグナル伝達経路への影響を調べるため、これらの形質転換体を使ったRNAseq法による遺伝子の発現解析を行った。結果については現在解析中である。また、JAによるGAシグナルの抑制効果におけるSNORKEL(SK1, SK2)の依存性を調べるため、SNORKELの遺伝子座が存在する、もしくは存在しない準同質遺伝子系統(NIL)を用いて形質転換体イネを作成した。酵母two-hybrid法による相互作用解析では、シロイヌナズナでみられるようなJAZとDELLAとの相互作用は確認できなかったが、OsJAZ-SK1の相互作用および、SK1-OsDELLA, SK2-OsDELLAとの相互作用を確認することができた。
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