シロイヌナズナの根の維管束の発生過程では、予定師部細胞付近での集中的な増殖と、二原型の組織パターニングが同調的に生じる。本課題では、転写因子HANABA-TARANU (HAN)の機能解析を通じて、細胞増殖と組織パターンとの同調機構の解明を行った。 HANは細胞増殖因子PEAR1の発現領域を予定師部細胞に特異化し、予定師部細胞付近に細胞増殖を集中化させる。この集中した細胞増殖は維管束組織内に偏った圧縮応力の場を形成し、結果的に、維管束中央に直線的な木部細胞列が構築される。本研究は、維管束形成において、集中的な細胞増殖に生み出される「機械的な力」とそのパターン構築における機能を見出した。
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