研究課題
我々は近年,ゼニゴケの葉緑体核様体が,明所で小さなスペックルを複数形成しながら葉緑体全体に分散し(光分散反応),暗所でスペックルの消失とともに葉緑体中央に集まる(暗集合反応)現象を見出した.本年度は昨年度に引き続き,核様体の光分散反応の1)光波長・光強度依存性と2)核様体構成タンパク質の同定について,再実験を行いデータの補強を行った.1.核様体の光分散反応の光波長依存性および光強度依存性:光分散反応は青色光(470 nm),緑色光(525 nm),赤色光(660 nm),遠赤色光(735 nm)の全ての波長の光によって誘導された.また,1-100 micromol m-2 s-1の範囲で光の強度を変えたところ,強度に応じて光分散反応は誘導された.以上の結果は核様体の光分散反応は光強度に依存することが明らかになった.2.核様体構成タンパク質の同定:亜硫酸還元酵素MpSiRおよびMppTAC3を同定した.MpSiR-YFPとMppTAC3-YFPをそれぞれ発現する形質転換ゼニゴケを作製して観察を行ったところ,MpSiR-YFP,MppTAC3-YFPともに明所でスペックルを形成して葉緑体全体に分散し,暗所で葉緑体中央に集まった.またMpSiR-YFPは葉緑体DNAと常に共局在した.以上の結果より,MpSiRはDNAとともに核様体を形成していることがわかった.またこれら形質転換体を用いて核様体の生細胞イメージングが可能となった.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
Plant Signaling & Behavior
巻: 15 ページ: 1722911~1722911
10.1080/15592324.2020.1722911
Plant and Cell Physiology
巻: 60 ページ: 2026~2039
10.1093/pcp/pcz064
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