左右軸の適切な決定は体の形作りの上で重要であり、重篤な病気となりうる繊毛病などの原因解明の観点からも医学的にも基礎的な知見の蓄積が必要とされる。左右軸の異常は先天異常へとつながることから、その機序の解明は先端医学においても基盤となり、社会的な貢献も大きい。左右の極性の起源に関してはここ二十年で急速に研究が進み、ヒトを含む多くの哺乳類で繊毛が決定的な役割を果たすことが示されてきた。一方で、繊毛と左右決定の機序に関しては依然として多くの疑問が残っている。本研究は、その中でも不明であった繊毛とカルシウム、左右決定との関わりを明確に直接的に答えたものであり、分野に大きな前進をもたらすと考えられる。
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