研究実績の概要 |
DNA二重鎖切断(DNA double-strand break, DSB)はDNA複製が阻害された際に生じるが、その修復機構は十分に理解されていない。申請者は先行研究において、複製装置の構成因子であるCtf4タンパク質が、ゲノム再編成を引き起こしやすい相同組換え経路によるDSB修復を抑制するために必要であることを明らかにした(Sasaki and Kobayashi, Molecular Cell 2017)。本研究では、以下の2つの研究目標を達成することによりCtf4タンパク質の作用機構を明らかにすることを目指し当該年度は以下の実績をあげた。 研究目標1: 野生型とctf4変異体においてDSB部位に結合している複製因子及び相同組換え因子の量をクロマチン免疫沈降法によって比較する Ctf4タンパク質は、複製因子をDSB部位につなぎとめることにより相同組換え因子がDSB末端に結合することを防ぐという仮説をたてた。この仮説を検証するために、クロマチン免疫沈降法を用いて3つの複製因子と3つの相同組換え因子のDSB部位への結合量を野生型とctf4変異体において比較した。 研究目標2: DSB修復に関与するCtf4タンパク質の相互作用因子を同定する Ctf4タンパク質は、DNA代謝の様々な過程で作用する因子と結合する。そこでCtf4結合因子欠損株を構築しその変異体解析を行った結果、ctf4変異体と同様の複製阻害時のDSB修復欠損を示す変異体を同定した。
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