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2018 年度 実施状況報告書

Gsdfから性決定遺伝子へ独立に進化した3種のメダカの性決定遺伝子誕生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15161
研究機関静岡県立大学

研究代表者

明正 大純  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (00781808)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード性決定遺伝子 / ミナミメダカ / Gsdf
研究実績の概要

本研究は、脊椎動物にみられる性決定遺伝子の多様性を理解するために、性決定遺伝子が頻繁に交代するメダカ属において、常染色体のGsdfから独立に性決定遺伝子に進化した、性決定遺伝子がGsdf である3 種のメダカ(ルソンメダカ、ペクトラリスメダカ、長崎産ミナミメダカ)を用いて、性決定遺伝子誕生の分子機構を特定しその共通性を解明することを主目的とした。本年度の成果の概要は以下の通りである。
1)長崎県産ミナミメダカの性決定遺伝子の原因となった塩基配列の探索
新規性染色体であるneoY上のGsdf(GsdfneoY)のコーディング領域のノックアウト個体が雌に分化するため、新規性決定遺伝子である。また、neoX上のGsdf(GsdfneX)とGsdfneoYのアミノ酸配列は同じであることから、本性決定遺伝子の原因配列はシス領域にあると推定されている。そこで、GsdfneoYとGsdfneXとミナミメダカのHd-rR系統のGsdfの上流と下流の塩基配列を隣接する遺伝子まで決定し、GsdfneoY特異的な塩基配列の変化を調べたところ、60カ所程度のSNPと上流に5.5kbの挿入を発見した。さらに、5’RACEによってGsdfneoYのmRNAの完全長を決定したところ、通常のGsdfのmRNAの他に、上流の5.5kbの挿入配列の一部を用いた新規のGsdfのmRNAが転写されていることを発見した。これらの結果から、この挿入を性決定遺伝子になったの原因の候補配列とした。
2)長崎県産ミナミメダカの性決定遺伝子の原因となった塩基配列の決定
GsdfneoYの5.5kbの挿入配列が性決定機能を獲得した原因であることを確かめるために、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術を用いて、この挿入配列の欠失個体を作成した。その結果、GsdfneoYの5.5kbの挿入配列の欠失個体が雌へと分化したことから、この配列が原因であることを強く示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

性決定遺伝子がGsdf である3 種のメダカ(ルソンメダカ、ペクトラリスメダカ、長崎産ミナミメダカ)を用いて、性決定遺伝子誕生の分子機構を特定しその共通性を解明は以下の3種において4つの行程を同時並行して行っている。
1)生殖巣の生殖細胞数の二型が見られる時期からの性決定遺伝子の機能時期の推定。2)性決定遺伝子の発現時期と場所の決定。3)性決定遺伝子の下流で働く性決定カスケードの解明。4)性決定遺伝子の原因となった塩基配列の特定。
本年度は、本研究の主目的である特長崎産ミナミメダカの4)に進展が見られたことから (2)と判断した。
また、本年度も2つ性決定遺伝子を持つ長崎産ミナミメダカ個体群と周辺の個体群を調べたところ、周辺には2つ性決定遺伝子を持つ個体群は存在しないことが明らかになった。今後も2つの性決定遺伝子が共存し変化していく過程を観察するために、引き続き調査を行う予定である。

今後の研究の推進方策

今後の研究計画に変更はなく、性決定遺伝子がGsdf である3 種のメダカ(ルソンメダカ、ペクトラリスメダカ、長崎産ミナミメダカ)を用いて、性決定遺伝子誕生の分子機構を特定しその共通性の解明を行う。本年度は特に長崎産ミナミメダカの性決定遺伝子の原因配列が5.5kbの挿入であることが明らかとなったため、今後はこの挿入配列がなぜ性決定機能を獲得させることができたかをゲノム解析などによって解明していく予定である。また、長崎産ミナミメダカのGsdfneoYとペクトラリスメダカのGsdfbYには、新規の転写開始地点を持つこと、常染色体のGsdfにはないユビキタスな発現を持つ共通点がある。GsdfbYの原因配列もGsdfneoYと同様の機構がある可能性があるので、ペクトラリスメダカのゲノム解析も行う予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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