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2018 年度 実施状況報告書

TCA回路の進化起源は炭酸固定代謝なのか、逆進化実験で解き明かす

研究課題

研究課題/領域番号 17K15166
研究機関東京大学

研究代表者

亀谷 将史  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80748517)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードTCA回路 / 祖先型酵素 / 代謝進化 / 炭酸固定
研究実績の概要

前年度にて、本研究で対象とした還元的TCA回路中酵素3種の祖先型酵素を構築した。すなわち、現存酵素のアミノ酸配列に基づいて祖先型酵素のアミノ酸配列を推定し、大腸菌内で発現可能になるような人工遺伝子を合成し、大腸菌での異種発現系の構築を行い、可溶性酵素の取得に成功した。本年度はさらに各酵素の精製手法を確立し、精製酵素を用いて性状解析を進めた。具体的には、祖先型酵素に付与したタグを利用したアフィニティ精製後、陰イオン交換カラムやゲル濾過を用いた高純度精製を行った。各酵素は複数のサブユニットのヘテロ多量体として存在するが、いずれの精製ステップにおいてもサブユニット間の解離は見られず、取得された酵素が正しく多量体構造を形成していることが示唆された。精製酵素を用いた活性測定においては、祖先型酵素が広い基質特異性を有する(複数種の反応を触媒する)という、本研究の作業を仮説を支持する結果が得られた。また、サブユニットごとにアフィニティ精製用タグの有無を変えた祖先型酵素の構築を行い、アフィニティ精製を行った。これにより、各サブユニット間での結合が祖先型酵素においても形成されていることが実験的に示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画調書に記載の通り、対象とした酵素種について祖先型タンパク質配列の推定・人工合成・また大腸菌での異種発現を行った。いずれの酵素種についても可溶性発現に成功し、計画していた実験に大きな支障は生じなかった。また、各酵素について精製手法を検討し、高純度酵素を用いた活性測定実験を行えるようにした。これにより、各祖先型酵素が活性を有しているか、また活性を有している場合どの反応の触媒活性を有するかの評価が可能となった。

今後の研究の推進方策

精製を行った祖先型酵素のうち活性の弱いものについて、発現条件や精製条件の検討を行い、より状態のいい酵素の取得を行う。反応性の測定を終えた酵素については、結晶構造解析や構造モデリングなどを行い、基質特異性を決定する残基・モチーフの解明を目指す。さらに、祖先型酵素を出発点として、ランダム変異と活性スクリーニングを繰り返し、活性の高い酵素へと人工的に進化させる系に供する。これにより、単一の多機能型酵素から個別の高活性型酵素への進化過程を実験室で再現することを試みる。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者は初年度9月1日に所属機関を異動した。異動前の実験に必要な物品は、本科研費交付内定前に購入済
みだったもので支障がなく、物品移動による酵素失活や破損などのトラブルを避けるように努めた。異動後は、実験のセットアップに時間を要したことや予定していた学会参加を見送ったことなどから、本年度使用額として回すこととなった。
この変更に伴い、本年度は当初の予定額900千円よりも多いおよそ1,229千円を使用したが、初年度分の未使用金額を使い切るまでには至らず、次年度使用額が生じた。次年度の研究遂行に必要な試薬購入費や学会参加費などに使用する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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