研究課題
本研究の目的は,アゴナガヨコエビ科甲殻類を用いて,水生無脊椎動物の多様な塩濃度環境への適応放散過程を解明することである.しかし,アゴナガヨコエビ科は種多様性が十分に明らかではなく,種間の系統関係も不明であった.そこで,昨年度までは淡水・汽水・海域のさまざまな環境でサンプリングを実施し,多様な環境における種多様性の解明と系統関係の推定を行ってきた.最終年度である今年度は,まず不足していた分類群のサンプリングを行った.サンプリングは洞窟内の地下水や潮間帯を中心に実施し,アワヨコエビ属やアゴナガヨコエビ属について多数の種を得ることができた.得られたサンプルの形態観察および分子系統解析を行ない,分類学的位置や系統関係を明らかにした.また,アゴナガヨコエビ科との比較検討のために,アゴナガヨコエビ科のサンプリングで同時に得られたスンナリヨコエビ科やメクラヨコエビ科などの種についても分類学的検討と分子系統解析を行ない,記載論文を発表した.さらに,研究協力者から提供された深海域(ベーリング海およびマリアナ海溝)に生息するPardaliscidae科の複数種についても研究を行ない,アゴナガヨコエビ科との比較・検討と記載論文の公表を行った.これまでの研究により得られた分類学的・系統学的研究成果に基づいて,アゴナガヨコエビ科の多様な塩濃度環境への適応放散に関する考察と議論を行った.これらの成果については,現在論文として公表準備中である.
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