アゴナガヨコエビ科端脚類は海から汽水、淡水域まで幅広く生息する甲殻類であり、水圏生物の多様な塩濃度環境への適応放散を探るうえで適した分類群である。本研究では、アゴナガヨコエビ科の種多様性を明らかにするために分類学的研究を行ない、ミギワヨコエビ属の1新種を記載するとともに未記載種も見出した。また、長年にわたり分類学的位置が確定していなかったドウクツヨコエビ属がミギワヨコエビ属のシノニムであることを明らかにした。分子系統解析によりアゴナガヨコエビ科内の系統関係も解明した。一方、浸透圧調節器官については生息環境ごとの明確な差異は検出できなかった。
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