研究課題/領域番号 |
17K15175
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
遠山 弘法 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (00571837)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マレーシア / 植生調査 / 種同定 / DNAバーコーディング / 多様性評価 |
研究実績の概要 |
過去数十年という短いタイムスケールで行われた熱帯林伐採は, 数億年という長い進化的な歴史を背景に形成された植物多様性の急速な消失を引き起こし、植物群集の構造を変化させる。本研究では、進化時間スケールを考慮に入れた生物多様性の評価・将来予測を、熱帯林伐採が著しいマレーシアで行うことで、今後マレーシア(ボルネオ)で生物多様性の維持・回復に向けてどのような方法が有効かを検討する事が目的である。 2019年度は、野外調査、DNAバーコーディング、解析を計画していたが、調査許可が下りず、野外調査には行けなかった。また、これまでの調査による標本の輸送と調査許可に関する調整のために現地に行く計画を立てたが、ヘイズによる健康被害が出ていたので取りやめた。上記の理由により科研費の延長申請を行い、2020年度まで継続することとなった。DNAバーコーディングについては、手元にある293サンプルで解析を進め、約80%は終了した。予備的な結果ではあるが、現地の研究者によって同定された結果とDNAバーコーディングによるデータベースとの照合結果を比較すると、科レベルで約10%、属レベルで約30%異なっており、我々の現地での種同定とある程度一致する結果だった。今後は種同定を進め、地域の植物相をまとめる論文を準備する予定である。また、群集系統解析を通して、誤同定が多様性評価において、どのような影響があるのかを評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
例年通り、調査許可申請を行ったが許可が下りず、野外調査に行くことができなかった。カウンターパートに原因を確認しても分からないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的は変えず、解析プロット数を減らすことで時間の遅れを取り戻す予定である。また、前回は日本人2人で調査を行ったが、次回より調査人数を増やすことで、作業効率を上げる予定である。 今後は、昨年度サンプリングした個体のDNAシーケンスを行い、その配列を用いて、系統解析、群集系統解析を行い、多様性に影響を与える熱帯林伐採を定量化する。特に、系統樹の不確実性を考慮した解析を行うことで、検定結果の頑健性を確かめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
例年通り、調査許可申請を行ったが許可が下りず、野外調査には行けなかった。また、これまでの調査による標本の輸送と調査許可に関する調整のために現地に行く計画を立てたが、ヘイズによる健康被害が出ていたので取りやめた。上記の理由により科研費の延長申請を行い2020年度まで継続することとなった。 使用計画としては、野外調査とDNA実験に充てる予定である。
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